「人が集う場所には教育があり、学校がある。」という学制発布のもとに、昭和二十二年に誕生した「熊谷中学校」。この精神は六十三年間の永きに渡り、学校に集う地域の人々と保護者や教職員で引き継がれ、「和敬の精神」を合言葉に地域と学校が一体となって、地域の生徒たちを育てることが、真になされてきたように感じます。学校はそこに通う生徒だけのものではなく、地域の交流の場として見守ってきました。長年に渡り地域の中で色々な役割を果たしてきました。
この度の閉校に際し、平成二十一年度末で二千九百九十七名の生徒を送り出し、一時期は全校生徒数二百二十二名を誇った学び舎も、平成二十三年三月をもって、閉校することとなりました。少子高齢化、過疎化という時代の流れにも拍車がかかり、菅生地区では平成十六年三月、菅生中学校を閉校し、熊谷中学校へ統合しました。しかしながら、統合後も生徒数の減少には歯止めがかからず、適正規模の学校を維持するためにも、新見第一中学校へ統合することとなりました。
今まであった学校が閉校してしまうということは、地域の文化拠点が無くなってしまうということで、その寂しさは、卒業生をはじめ、保護者、教職員だけではなく、この中学校区に関わる全ての人々にとっても計り知れないのもがあるのではないでしょうか。
九月十二日の「熊谷学区合同大運動会」では、熊谷保育園、熊谷幼稚園、塩城小学校と熊谷中学校の合同による大運動会が開催され、地域住民が一丸となって取り組み、中学生には、思い出深いものとなったと思います。参加した人々の笑顔や真剣な表情、演技を見守る姿に感動しました。
生徒たちは、校内弁論大会、委員会発表、文化祭、郊外学習などを通して学んだ様々な体験と学舎で学んだことを、心の糧として統合先の学校で、学んでくれることと確信しています。熊谷中学校で学んだ学舎の窓から眺める塩城山(潮の峰)、稲荷の松、そして清流、熊谷川。全てが生徒たちが健全に育むよき自然環境であり、ふる里の学校を忘れないと思います。
新年度より、一年生と二年生は、新見第一中学校で新しい仲間と一緒に学ぶことになります。戸惑いと期待が交錯するかも知れませんが、「和敬の精神」を胸に、新しい一歩を踏み出してくれることを切に願っています。
新見市立熊谷中学校長